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相続放棄「相続開始があったことを知った時」から3カ月は,いつからスタート?

2019年08月19日

伯父が借金をしたまま死亡し,相続人である父親が相続放棄をしないまま死亡してしまい,突然,伯父の借金を相続しているとして債権者から借金の返済を迫られた・・・。

こんな場合,相続放棄ができる期間となる「3カ月」の起算点はいつなのか?

 

最高裁判所令和元年8月9日に,初めて判断がされました。

 

まず,相続放棄は,自己のために相続の開始があったことを知った時から「3カ月」以内にしなければならないとされています(民法915条)。

しかし,相続人が相続放棄をする前に死亡してしまった場合(二次相続),その相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から起算する(民法916条)と規定されています。

 

最高裁判所の事例は,連帯保証人である伯父が死亡し(平成24年6月),本来ならば伯父の妻子が相続人であったところ,伯父の妻子は相続放棄(平成24年9月)をした結果,弟であった父が相続人となってしまい,その父が相続放棄をしないまま死亡(平成24年10月)してしまって3年後(平成27年11月),債権者からの請求で,初めて,自分が伯父の債務の相続人であると知り,その3カ月以内(平成28年2月)に相続放棄をしたというものです。

これまで起算点は,「相続人が死亡した時」が有力な解釈とされており,これによれば,子は父が死亡(平成24年10月)してから3カ月以内に伯父の債務の相続放棄をしなければならなかったことになります。

 

しかし,最高裁判所は,

民法916条にいう「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」とは,相続の承認又は放棄をしないで死亡した者の相続人が,当該死亡した者からの相続により,当該死亡した者が承認又は放棄をしなかった相続における相続人としての地位を,自己が承継した事実を知った時をいうものと解すべきである。

と判断しました。

自分が伯父の債務を相続することになることを知った時(平成27年11月)から3カ月以内にした相続放棄は有効としました。

 

相続が発生した場合,プラスの財産のみならずマイナスの債務も小計してしまうことになるため,債務の有無や金額を把握する必要がありますが,分からないことも多く,今回のように,先順位の相続人が相続放棄をしてしまって,次順位の相続人が相続することになった場合はなおさらです。

 

今回の最高裁判例によって,自分が知らない間に負債を相続してしまっていたという不測の事態を回避できることに,相続人にとってはありがたい判断であったと思います。

 

夏期休暇のお知らせ

2019年08月05日

暑い日が続いております。

下記のとおり,夏期休暇として,当事務所をお休みさせていただきます。

令和元年8月19日(月)から,通常どおり執務いたしますので,

よろしく お願いいたします。

令和元年8月13日(火)~8月16日(金)

土・日・祝日はお休みとさせていただいています。

「反社会的勢力ではないこと」の表明・確約書の重要性

2019年06月28日

特殊詐欺グループのパーティに,所属事務所を通さずに営業(余興)をしたとして,事務所が,仲介した芸人との契約解消,出席した芸人らも謹慎処分としました。

また,同時期に指定暴力団幹部の誕生パーティで営業(余興)をした芸人についても,所属事務所が無期限謹慎処分としました。

4年前,3年前のことであり,仲介した者も,余興をした者も,「特殊詐欺グループとは知らなかった」「暴力団員とは知らなかった」と弁明しているものの,不適切な行為であったとして,謹慎処分やむなしとの判断は,反社会的勢力の排除の機運が社会的に高まっていることを感じています。

 

ただ,本人達は,特殊詐欺グループはエステティックサロン経営等をしている会社,指定暴力団幹部は建設会社社長の兄としか聞いて居らず,反社会的勢力であるとは知らなかったと弁明しているようです。

真実は不明ですが,確かに,反社会的勢力が排除が進むことにより,隠れ蓑としてフロント企業を利用したり,一見して暴力団員とは分からない格好をしたりしていることもあり,反社的勢力とは分からなかった可能性はあります。

反社会的勢力とは知らず関係を持ってしまい,数年経過して(今回のケースでは,4年前と3年前),突然,反社的勢力と関係を持っていただろうと糾弾されてしまう危険性があることになります。

「反社会的勢力と知らなかった」「反社会的勢力と知っていたら行かなかった」ということを証明するのは大変です。

 

今回の芸人達が営業をする仕事を受けるにつき,営業先から「反社会的勢力でないこと等に関する表明・確約書」を徴求しておけば,「反社的勢力と知らなかった」と堂々と言えるのにと思います。

「暴力団等反社会的勢力ではないこと等に関する表明・確約書」の文例は,

暴力団追放推進都民センターの「暴力団対応ガイド」にも掲載されています。

 

所属事務所を通していなかったことについての是非も議論されていますが,個人的に仕事を受けるときに,相手方からこのような確約書を徴求することを徹底することは難しいこともあることから,事務所を通してスクリーニングしてもらうということが自己を守ることとして必要であったのかもしれません。