コロナ感染拡大防止の観点から,2019年4月に緊急事態宣言が発出されて以後2か月近く,全国の裁判所で,手続がほぼストップする事態となりました。
かねてより,裁判IT化の流れではありましたが,上記の事態を機に,地方裁判所の民事事件では,Web会議が本格的に導入され,裁判所に行かず手続を進めることができるようになりました。
Web会議による審理であれば,裁判所への往復の時間が無くなる上,訴訟記録も持って行くことなく,手元で確認することができますし,裁判所に行く必要がないので,裁判所,双方の代理人弁護士(特に,遠方の弁護士)との期日調整もしやすくなります。
依頼者にとっても、弁護士の裁判所までの交通費を負担する必要がなく、特に,遠方の裁判所の場合は経費負担の軽減になります。
家庭裁判所の手続では,Web会議ではなく,電話会議による審理がなされていました。
しかし,電話会議による審理は,Web会議による審理と異なり,裁判官や相手方弁護士などの顔を見ることができず,発言をするタイミングをはかるのが難しく,また,こちらの発言に対してどのような表情をしているのか(うなずいて理解してもらっているのか,おかしいと思っているのか)を推測することもできず,やりにくさを感じています。
このたび,最高裁判所より,2021年12月8日以降、東京、大阪、名古屋、福岡の各家庭裁判所で順次試行すると発表がなされました。
仕事などで日程調整が難しかったり、家庭内暴力(DV)の問題があったりする場合などに、調停委員会が相当と判断すれば適用されるそうです。