平成28年3月23日の新聞報道で,
預金を他の財産と合わせて遺産分割の対象にできるかどうかが争われた審判の許可抗告審で、最高裁第1小法廷は23日、審理を大法廷に回付した。
とありました。
これまで,預金は,理論的には可分債権(分けることができる権利)であるから,相続開始時に,各相続人の法定相続分どおりに分割され,遺産分割の対象外とされていました。
しかし,遺産として自宅自動産と預金があった場合,自宅不動産をナイフで切り分けるように各相続人で分割することは難しいので,相続人間で合意すれば預金も遺産分割の対象とし,自宅不動産を取得しなかった人には預金を相続させるなどとして,遺産分割をすることがなされてきました。
ただ,相続人間で合意ができなければ,原則に戻って自宅不動産のみが分割対象となり,不動産を取得したい相続人が代償金を用意できないとなると,自宅不動産を売却して分けるほかない困った事態となってしまいます。
「最高裁の大法廷に回付した」ということは,これまでの「預金が遺産分割の対象外」という判断が変更される可能性があります。理論的には大きな変更であり,判断がどうなるのか大いに気になるところです。