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裁判官の旧姓使用OKに
2017.06.29

最高裁裁判所が,平成29年6月28日,裁判官や書記官などが判決などの公的文書で戸籍名しか使えなかったことについて,社会情勢を踏まえて改める必要があるとして、9月1日以降、希望する裁判官や書記官などに対して旧姓の使用を認めることを決めたとのことです。

 

夫婦別姓を認められないことによる損害賠償請求訴訟において,最高裁判所は,平成27年12月16日判決で,「夫婦同氏制は,婚姻前の氏を通称として使用することまで許さないというものではなく,近時,婚姻前の氏を通称として使用することが社会的に広まっているところ,上記の不利益は,このような氏の通称使用が広まることにより一定程度は緩和され得るものである。」として,請求を認めませんでした。

しかし,肝心の裁判所が,判決や公判の調書など国民の権利や義務に関わる文書については、「作成者の権限を明確にする必要がある」などとして、戸籍名の使用しか認めていなかったところ,運用を改めるとのことです。

 

学校での旧姓使用が認められなかったことについての損害賠償請求が認められなかった判決(東京地方裁判所平成27年10月11日判決・後に東京高等裁判所で旧姓使用を認めることで和解)がありましたが,今後,職場での旧姓使用を認めなかったことによる損害賠償請求についての判断に影響があると感じました。