お知らせ・ブログ
調停での「電話会議システム」
2016.10.31

先日,調停(遺産分割)で,電話会議システムによる調停を経験しました。

 

民事事件では何度か経験しましたが,家事事件では,平成25年改正で導入したと聞いていたものの,事情をじっくり聞く調停を電話会議でやるのは,しんどいのではないかと思っておりました。

民事事件のときは,当事者のどちらかは裁判所に行かなければならないので(民事訴訟法第170条3項但書),裁判官と一方当事者のいる裁判所から電話が架かってきて,3者で話をします。

調停事件のときは(ちなみに,民事事件と違って双方とも裁判所に行かなくても大丈夫です(家事事件手続法第54条,第258条)),双方入れ違いで話をするので,事務所で待っていると,調停委員から電話が架かってきて,調停委員と話をします。ひととおり話をしたら,一旦,電話を切って,調停委員が相手方と話をした後,また,電話が架かってくるので,話をするという感じです。

 

遠方の裁判所のみならず,最寄りの裁判所にすら行かず,事務所で待っていればよいので,時間と費用がかからず,楽です。

特に,遺産分割の場合は,当事者が多いケースでは,当事者全員が遠方の裁判所に出向くことができる日程となると調整が難しく,事件が長期化するという事態を避けることができます。

 

 

しかし,話をする相手が,どのような顔をして,どのような反応をしているのか,イメージしにくいと,話しづらいものです。やはり,電話会議システムを利用するにしても,一度は,裁判所に行っていた方がよいように感じました。また,当日,書面が提出されると,その書面を見ることができないまま,話をしなければならないので,大変です。

そういった点では,音声だけの電話会議システムではなく,画像もあるテレビ会議システムがいいですね。ちなみに、条文では,電話会議システム・テレビ会議システムを「裁判所及び当事者の双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法」と書いてます。